緻密な推理構築と感動の物語

とにかくラストがすごかった。
えも言われぬ感動がありました。
これは正しい真実を求めた青年の成長物語であり、真実を捻じ曲げようとした犯罪者の物語です。

ミステリということもあってなかなかうまい紹介文にならないと思います。
ただこの物語を楽しむにあたって、どんなヒントもここに記したくないのです。

この作者さんの作品はいくつか読んでおりますが、どれも緻密な構成、細部まで構築されている世界観と、生き生きとしたキャラクターが大きな特徴だと思います。
この作品にもそれらが大いに発揮されており、冒頭からどっぷりと作品世界に溶けむことができると思います。
なかでもこの作品はミステリー要素が特に強く、またストーリーも二転三転と驚きの展開を迎え、結末まで華麗に予想を裏切っていきます。

今回の主役は刑務所の看守をしている鮎京くん。
若くて、仕事に対して熱心で誇りをもっています。
そんな彼の担当に凶悪な殺人事件を起こした犯人がいました。
しかしその犯人の振る舞いはあくまでおとなしく、礼儀正しく、とてもそんな事件を起こす人間には見えないのです。

……という冒頭から始まる物語は、いくつもの疑問と懐疑をはらみつつ、鮎京くんはいやおうなしに引き込まれていきます。
もうこれだけでも面白そうでしょう?
先が気になるでしょう?
そんな読者の心を引っ張りまわし、次々に謎と解答を開示し、物語の核心へとずるずると引きずり込んでゆくのです。

まさに作者の思うつぼなわけですが、そこがやっぱりうまいなぁと思うわけです。
確かな実力ある作者さんの仕掛ける極上のミステリーです。
ぜひ読んでみてください!

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