これぞミステリー! 最後の最後で思わず膝を叩くこと間違いなしですぜ!

ええっ! この物語は二十万文字を超えていたのか!
読了後に気づき、あらためて「読ませる」小説であることを再認識いたしました。
主人公の職業が刑務官という、一般市民にはあまり馴染みのないことにまず驚きます。ミステリーのジャンルでは、探偵や警察官が主役であることが圧倒的多数です。ではなぜ刑務官を主人公としたのか。そこがこの物語の真骨頂とも言えるべきところではないでしょうか。罪を犯し、服役する囚人と接するのは看守、つまり刑務官です。猟奇殺人で無期懲役を受けた青山。医務課に勤務する刑務官の鮎京はその青山に違和感を抱きます。ここからが前代未聞の事件が始まるのです。
作者の銀鏡さまのミステリー長編はすべて拝読しておりますが、今作は間違いなく最高傑作になるでしょう。
冒頭に書きましたように、二十万文字を超えるにも関わらずどんどん物語の中に引き込まれていくのです。その理由のひとつが、紹介文にありますように徹底的に調べられそれを血肉に変えて紡がれているからです。だからこそ、リアリティに溢れ、綻びがひと欠片もないのです。
面白い!
結論はこれです。もっと多くの方にご覧いただきたい傑作です。
そしてもうひとつだけ。タイトルの「虜囚達と夜のユリシス」に隠された秘密。
これはラストまでご覧になったときに、なるほど! と膝を叩かれることを請け合います。

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