張り巡らされるミスリードと感情の蜘蛛の巣

一話目を読みました。即座に思いました。(これは完結まで走りたい)稀に、そういう感情を抱かせられる作品があるのですが、この作者さまの「ミックスベリー殺人事件」がそれでした。

様々な切り口から、ミスリードの糸どころか、あらゆるところから蜘蛛の糸のように伏線と外しが襲い掛かっていつしか蜘蛛の巣になっていきます。
今作も最高でした。ネタバレは防ぎますが、ミステリーは単調であると、ただ、謎解きの推理ものに徹してしまいます。

しかし、この作者さまの文法にかかると、様々な人間が、想定した行動をとり、それゆえに想定できないラストへと結びつくのです。

それは「幕間」なる別視点が挟まるので、そこで物語の復習をしつつ、駆け抜けるブーストになるからだと思っています。

行間が詰まっていますが、わたしは縦書きで一気に楽しめました。
医療ミステリーと刑事ものの組み合わせではなく、虜囚のエッセンスを絡め、蜘蛛の糸に閉じ込められて――

なぜ、このタイトルなのか。最後まで分かりません。最後の一行が胸に残る。

そこには幾人もの悩みや、思いやり、ラストへの伏線が感情と共にあります。


それでも、「ああ、そうだったんだ」とすとんと胸に落ちる。医療ミステリーの先人たちが歩んだものとまた違う、新感覚の医療ミステリーはカクヨムならではかもしれません。

次は貴方自身が感じてください。一冊の本を読み通した気分に浸れます。そして一気に読み終えて思います。

凄い物語だったなぁ……と。ありがとうございました。

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