おそるべき完成度に息を呑む。刑務所を舞台とした医療ミステリー。

女性を殺害した後に臓器を抜き取る、という猟奇殺人事件の犯人として刑務所に収監された青山。しかし、その素行は凶悪犯とはとても思えないほど良好だった。
刑務官の鮎京は疑問を抱き、青山が犯したという事件について調べ始める。

……という筋立ての、本格的なミステリー小説です。

読んでみると、洪水のように押し寄せる情報量に圧倒されます。
医療に関する知識、そして刑務所の制度にまつわる知識を総動員して作り上げられたかのような物語は精緻の一言。一文一文を噛みしめるたびに「取材が行き届いているな」と唸ります。

ミステリを読む醍醐味は真相が明らかになったときの衝撃と納得感だと思いますが、本作はそれをしっかりと味わわせてくれますね。
Webだけじゃ勿体ない。書籍で読みたいクオリティです。

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