大久保純という男がひたすらにかわいい話です。このやろう。こんちくしょう。意外と(匙先生の小説としては意外と)ネタバレに弱い構成だと思うので諸々は伏せますが、少し読んでクソ重ホラーかなと思った貴方。正しい。正しいけど大丈夫。つくもがたり(シリーズ最初の長編)を読破しておくとウン倍面白いと思いますが、逆にこれを読んでからアレに挑むと、アレの結末がおそろしく刺さるようにも思います。どっちからでもいいです。
『がたり』『かさね』『あつめ』と続く『つくも』シリーズ。大久保、関、翠、菱田君と、おなじみのメンバーは今作も健在。昭和初期のレトロな世界観を描き出す安定した筆致は一貫したもので、安心して読めま…続きを読む
戦前、帝都東京にて。臆病な文士、大久保が体験し物語る怪異譚。レトロで柔らかな風合いの文章が心地よく、この世とあの世の曖昧な境へと読者を導く。亡くなった恩師の全集が編まれることとなり、遺稿…続きを読む
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