命の在り方を真剣に考えたい方に、読んでいただきたい作品です。他の生き物の命を奪う事の意味。食べるためなら許されて、剥製を作るためには許されないものなのか?そもそも、許す許さないは誰が決めるものなのか?ここまで心惹かれる作品は、初めてでした。
剥製用の鳥を撃つ少年イズムの物語。鳥撃ちの技術を教えた父。剥製用の鳥撃ちを反対する母。剥製を作る職人。剥製を愛おしむ顧客。そして、イズムの前に現れる、虹色の輝きを放つ鳥〈虹翡翠〉。誰が正しいか、間違っているかではなく、それぞれに想いのこもった考えがあり、それらを受け止め、悩み、考え、そして選んでいくイズムの姿に、深く感銘を受けます。命とは何か。働くとは何か。そして、私たちは何を選んでいくのか。強く心に残り、深く考えさせられる作品です。
言葉のするのが難しいのですが、とても心に染みる、好きなお話でした。それぞれに諭され、語られた内容も、それぞれの思いも、どれも間違いではなく、それぞれにとっては、信念のような真実なのだと思います。彼は、そのどれもに耳を傾け、考えて、悩んで、答えをひとつ見つけたのではないかな、と。明示はされていないけど、彼がとった道と、伝えなかった技術が、そうなのではないかな、と思います。
良質の児童書を読んでいるようでした。
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