エピローグ

西暦2017年 5月17日

エピローグ まどろみながら、君の隣で朝を待つ

 目を覚ますと、まだ夜明け前で、三度の家にいた。


 ぼんやりと覚えているのは、庇護を宣言したマルレラの声。

 きっと、もう、三度みたびを傷つける奴も、里音りおんさんを縛り付ける奴も現れない。


 姉妹は倒れるようにして眠っている。

 何かを求めるように伸ばされた三度みたびの手が僕の手に触れていて、その小さな体温を受けていた僕は、ひたすらに彼女達の幸せを願った。


 心に受けた傷ばかりは僕の魔法でも治せないけれど、それでも明日はやって来る。

 そこから先もずっと続いている。

 幸せになれるなんて保障はない。

 きっと、痛みは思い出してしまうだろう。


 ……けれど、それでも。


 2017年、5月17日。水曜日の早朝。

 三度みたびの寝息の隣。僅かに香る灰の匂いの中。

 僕は、再度やって来た眠気にまどろみながら、朝を待つ。


――――――――――


 つづく(更新未定。仮タイトル「異世界童話異聞禄 赤頭巾かやの」)

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異世界童話異聞録 シンデレラみたび 秋田川緑 @Midoriakitagawa

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