続・さよならは突然に
さて、深夜に警察から連絡をもらったものの、名古屋までは新幹線か飛行機で行かなければならない。
Tさんと面会するにしても朝を待つしかない。
とりあえず上司に電話してみた。
時刻は深夜1時40分。
三回目のコール音の後、切られる。深夜だから仕方ない。めげずに電話をかけ続けること四回。
「……何?」
出た。
「夜分に失礼します。失踪したTさんですが、名古屋で見つかったそうでさっき警察から電話がありました」
「……Tさん? って誰だっけ」
覚えてなかった。
再度簡単に経緯を説明する。
「あぁ、あの人ね。もういいよ、引き受ける義務ないし。放置ということで」
Tさんは放置される事になった。
不法滞在者は強制送還される。
あんなに会いたがっていた家族に会えるんだから、これはこれで良かったじゃないか。
私はそれで納得した。
国に帰ったTさんは奥さんと離婚した。彼が日本に残りたがったのは日本に若い愛人がいたからだ。
それを知ったのは強制送還から二ヶ月後の事だった。
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