概要
少年は大好きな父親を応援したい気持ちと、漠然とした不安感との間で揺れ悩みます。
そんな中、新しい母と妹を迎えて始まる新しい生活。
優しく接してくれる新しい母と無口で可愛らしい妹。
そんな二人を受け入れたいという気持ちと、自分の中に積もっていく大きな焦燥感とで葛藤する祥太。
ある夏の日、祥太は妹の大切にしている物を壊してしまう。
これは家族が家族としてあるための努力と労りのお話。
小学生だって真剣に考えているのです。
おすすめレビュー
新着おすすめレビュー
- ★★★ Excellent!!!思い遣り、すれ違い、その向こうにある「家族」の形。感動必至です。
「父親の再婚」という難しい出来事が、
小学生の男の子の目線で語られる物語です。
重くなりすぎることなく、
優しい言葉遣いや、丁寧な心情描写によって、
とても温かみのある雰囲気の作品となっております。
運動がヘタッピーだけどキャッチボールに付き合ってくれるお父さん。
野球の話をたくさん調べてお話しようとしてくれる新しいお母さん。
絵が上手い妹のユウナちゃん。
そして、主人公の祥太くんは、お父さんを悲しませまいと我慢してしまうけれど、本当は……。
この家族、みんな本当に優しくていい人たちなんです。
そしてこの作品の重要なポイント。
「玄関先の、小さな秘密」
それがどのような秘密なのか、皆様に…続きを読む - ★★★ Excellent!!!小学生だから、こだわってしまう
所々で小学生らしさを強烈に感じる文章で、素敵です。
それは、たとえばこだわってしまうところに出てきます。
小学生の頃は、一つのことにこだわってしまうことがありますよね。
物へのこだわりがあったり、こだわりがあるがゆえに奇行をしたり、
はたまた一つの言葉をこだわって使用したり。
(作品とは関係ないですが)私の場合は、好きな漫画やアニメを何度も繰り返し見て、セリフを暗記することがこだわりでした。好きなものへの愛情を、暗記することで表現しようとしていたのかもしれませんね。
この作品で登場するこだわりですが、
これが小説という形だからか、主人公の持つ言葉のこだわりが特に強く印象に残りました。
そこ…続きを読む - ★★★ Excellent!!!再構成する“家族”
『小学生だって真剣なんです』と身の引き締まるようなキャッチコピーのついた本作。親子のキャッチボールからの始まりは意外とのどか。しかし、父親の提案から早々と少年の日常が変化していきます。
少年に訪れたのは両親の再婚という一大イベント。しかも相手方は子連れです。突然の母親と妹。我が国においても再婚率は増加傾向にあり、こういった家族は増えていく一方です。そこで生まれる問題、継子と継親間はもちろん実親との間にも亀裂が入る可能性があり、再婚の試みは大きなリスクを孕んでいます。そして、大昔からありながらもこの手の苦しみに正解はありません。
そんなわけで、少年の心が翻弄されていくさまが本作では細やかに…続きを読む