小学生だから、こだわってしまう

所々で小学生らしさを強烈に感じる文章で、素敵です。
それは、たとえばこだわってしまうところに出てきます。
小学生の頃は、一つのことにこだわってしまうことがありますよね。
物へのこだわりがあったり、こだわりがあるがゆえに奇行をしたり、
はたまた一つの言葉をこだわって使用したり。
(作品とは関係ないですが)私の場合は、好きな漫画やアニメを何度も繰り返し見て、セリフを暗記することがこだわりでした。好きなものへの愛情を、暗記することで表現しようとしていたのかもしれませんね。

この作品で登場するこだわりですが、
これが小説という形だからか、主人公の持つ言葉のこだわりが特に強く印象に残りました。
そこから主人公の少年の、大切なものをどれだけ大切にしているかという思いの強さや、必死な感じとか、いろんな気持ちが伝わってくるのです。
少年の心を覗くことができる!
そんな魅力的な作品です。

親が再婚する、という環境に立たされた少年の悩み方もリアルな感じで、
ただただ翻弄されるのではなく、
少年なりにあれこれと考えて、こうするべきだと思ったことをしていきます。
そんな健気な姿が見れるので、
読者は感情移入をしたり、応援する立場になったりして、どんどん読み進めていけます。

そして最後は晴れやかに終わって、気持ちがいい作品です。

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