眩しい太陽の島で起こる暗闇の犯罪。光と陰のコントラストが鮮やかな一作

中世のシチリア島を舞台にしたミステリです。
太陽の光が降り注ぐ眩しい島のイメージとは裏腹に、ここでうごめくのは犯罪に手を染めた人間のどす黒い欲と業。
底辺で暮らしてきた若者の必死で泥臭い生きざま。
明るく強い光が刺すほどに濃くなるような心の暗闇、その陰陽のコントラストがこのシチリアという舞台に映えます。
淡々と低めのトーンで語られる描写にも中世の匂いが濃く漂い、重みのあるリアリティを感じます。ミステリ展開のみならず、この時代のイタリアの風俗や社会を写し取った臨場感ある部分も読みどころです。
主人公が盗んだルビーは、果たして彼にどんな人生をもたらすのか。
渋い後味を残すラストシーンまでその行方を追ってみて下さい。

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