川のごとく脳裏に流れる語り。雨のごとく心に降り注ぐ言の葉。

  • ★★★ Excellent!!!

一言で言えば、血の繋がらない兄妹の葛藤。物語は妹の視点で語られますが、それと同等の思いが兄の中にもあるのがわかります。
兄妹でありながら兄妹ではない――そんな二人が両想いでありながら結ばれないもどかしさがひしひしと伝わってきます。

テーマは重いけれど単純。単純ゆえにあまり引っ張ると自己陶酔に陥って読み手が飽きてしまう危険があります――ただ、この文章は決して読み手を飽きさせません。言い方は悪いかもしれませんが「噛めば噛むほど味が出る」といった感じです。

「詩的な純文学」とでもいうのでしょうか? 歌の歌詞のようなリフレインの部分が読み手の感情に訴え掛け、心を震わせます。また、古典的な文章(和歌)の挿入がとても効果的で物語に厚みを持たせます。

改めて思いました――これが筆者の世界観であって真骨頂であるのだと。

ボクには書けない文章。すごく勉強になります。
ぜひ目を通されることをお勧めします。

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