全てのものは、有限だ。
しかも、運命によってその長短を定められてしまっている。
そんな運命の元に生まれた私たちは——限られた時間の中で、何を、どれだけの熱を持って愛することができるのか。
ここには、自分の全力をかけて愛するものへ想いを注ぐ、人間と、動物の姿が描かれている。
命が消えるその瞬間まで——叶えたいと願った夢。
愛する人の思いをしっかりと受け止めた、その恋人たち。
溢れ出すそれぞれの思いは、深い痛みをもって読む者の胸を打つ。
運命の悲しさと、それに静かに従いながらも空を仰ぐような強さに満たされた、心を震わす物語だ。
読んでいる間、絶え間なく失われた青の存在を感じた。
包まれたように、深く淡く優しく、身体を擦り抜けるような青。
人魚と聞くと、儚い運命が付随してくる。
どうしたって抗えない、哀しみとせつなさが混ざった
そう、まるでこれは大人のための絵本。
愛した人が倒れたなら、奇跡を願うだろう。
どんな苦しい状況であれ、最期まであきらめることなどできはしない。
病に侵され月に伸ばした腕は、青白く弱く映っただろうけど
最後に託した想いは、月の白い光線に照らされ、まぶしいほど強くて。
まだ青い海を持っている私たちは、これを守り抜きたいと願う。
青い空を見上げながら、未来に向かって、失ってはいけないのだと。