概要
きみとあの子の泳ぐ海をきっと作ってあげるから…
「地球はなんで青かったか、知ってる?」
彼女はぼくに消え入りそうな声で聞いた。
「月の人魚が落とした最後の涙のひとしずくなんだって」
そう笑うきみの命の灯火が静かに消えていく。
地球の海が青かったのはもう百年以上も昔の話になる。紅く染まって命を紡げなくなった海が広がる世界でぼくらはおなじ夢を見た。青い海をを取り戻したいと願うぼくらに、けれど運命はとても残酷で……
彼女はぼくに消え入りそうな声で聞いた。
「月の人魚が落とした最後の涙のひとしずくなんだって」
そう笑うきみの命の灯火が静かに消えていく。
地球の海が青かったのはもう百年以上も昔の話になる。紅く染まって命を紡げなくなった海が広がる世界でぼくらはおなじ夢を見た。青い海をを取り戻したいと願うぼくらに、けれど運命はとても残酷で……
おすすめレビュー
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- ★★★ Excellent!!!限られた時間。その中で、私たちは、何をどれだけ愛せるのか。
全てのものは、有限だ。
しかも、運命によってその長短を定められてしまっている。
そんな運命の元に生まれた私たちは——限られた時間の中で、何を、どれだけの熱を持って愛することができるのか。
ここには、自分の全力をかけて愛するものへ想いを注ぐ、人間と、動物の姿が描かれている。
命が消えるその瞬間まで——叶えたいと願った夢。
愛する人の思いをしっかりと受け止めた、その恋人たち。
溢れ出すそれぞれの思いは、深い痛みをもって読む者の胸を打つ。
運命の悲しさと、それに静かに従いながらも空を仰ぐような強さに満たされた、心を震わす物語だ。