青い海を想って届いた涙。

読んでいる間、絶え間なく失われた青の存在を感じた。
包まれたように、深く淡く優しく、身体を擦り抜けるような青。

人魚と聞くと、儚い運命が付随してくる。
どうしたって抗えない、哀しみとせつなさが混ざった
そう、まるでこれは大人のための絵本。

愛した人が倒れたなら、奇跡を願うだろう。
どんな苦しい状況であれ、最期まであきらめることなどできはしない。

病に侵され月に伸ばした腕は、青白く弱く映っただろうけど
最後に託した想いは、月の白い光線に照らされ、まぶしいほど強くて。

まだ青い海を持っている私たちは、これを守り抜きたいと願う。
青い空を見上げながら、未来に向かって、失ってはいけないのだと。

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