料理人はみな、口を揃えて言う。料理に手間隙を惜しむなかれと。その行程ひとつで味が変わる。特に日本料理は細やかそのもの。日本人が持つ思いやりの精神そのものが一つ一つに反映されている、だからこその深みのある味なのだろう。
このエッセイを読んで改めて手間隙を惜しんではならないことを噛み締める。料理は心そのものである。
ありがとうの心が返ってくるのは、そこにありがとうと伝えたくなるほどの想いと手間隙が詰まっているからなのだろう。
たかが胡麻豆腐、されど胡麻豆腐。その深みのある味わいは食べた人を喜ばせたいという、たったひとつの想い、深い愛情なのである