この人のうまさはもう言うまでもありません。

 この作品もいいですね。過不足のない言葉が明るい庭越しの練達のピアノのように心地よく聴こえてきます。軍鶏鍋のうまさを語るより、どんなものを食ってくれないかを挙げ、卵料理ならひと匙ふた匙というところまで丁寧に書いているのがいい。女性のじれったさがそこに出てる。文字数制限があるようで、言い足りていないというか、泣く泣く削られた言葉や文がありそうですが欠落とは感じられなかった。いいですよ、やっぱり。前回拝見した「斎藤一……」はたまたま気に入ったとか相性がよかったわけではありません。そこらはちゃんと読んでますからご安心を。ただ……私は鶏だけは苦手なんですけどね(笑)。

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