腕切り、脚切り、ダルマの屍肉
久遠寺遥
欲望の街 上海
一発当てるチャンスが来た……
俺は最初から語学なんかのために上海に来たわけではない。留学はただの名目だ。
中国のエネルギー。ギラついた欲望。そういうものの中に身を投じれば、何かが得られる。
輪郭すらわからない漠然とした期待。それがあったからこそ、ここに来た。
留学生のガキどもの話を聞いていると、俺がなぜダメだったのかがよくわかる。
ただ勉強するだけ。勉強して語学力を身に着けるのがゴール。その先のことを何も考えていない。
だからダメ。
中国語ができたって、せいぜい便利な事務員になるだけだ。安く使われて終わり。そんなものになるためのくだらない努力。今はそれがバカバカしく見える。
単位取得に汲々としながら目先の小遣い稼ぎのためのバイトに明け暮れた学生時代。だから俺には何も見えていなかった。
延々と小金を稼ぐだけの人生。流されるだけの生活。何も策が無ければ、そうなるのが必然。
与えられた内容を反復して記憶する。ネットで探し出した論文を参考にレポートを仕上げる。オリジナリティーは継ぎはぎの技術だけ。そんなことを繰り返していてもデカい成果は得られない。
成功するやつはそんなことはしない。見えているモノが違う。他人が気が付かないチャンス、盲点、タイミング。そういうものを狙っている。
必要なのはデカく稼ぐことだ。稼ぐだけ稼いで、お勉強を頑張ったやつらを使う立場に回る。語学なんか、他人にやらせておけばいい。かったるい中国語の勉強なんかしていられない。
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