お嬢様誘拐事件 解答編

「狂言誘拐だとわかったから」

 青年はあっさりと答え、折り紙を取り出して鶴を折りはじめた。

「なぜですか!」

 青年が千羽鶴を手伝ってくれるのが嬉しいのか、少女は青年の手元を見つめながら言った。

「犯人の外見はともかく、年齢なんてわからないだろ。それに、君が最初に言ったんだよ、かねてよりの計画を実行するってね」

「さすが先輩!」

 そう言って少女も折り紙を取り出し、鶴を折りはじめた。

 少女は変な節をつけ「鶴は千年~、亀は万年~」と歌いながら鶴を折っていたが、何かに気づいたように顔を上げた。

「先輩! 鶴やめましょう! 亀ですよ亀! 万年の方がいいから千匹亀折りましょう!」

 そう言って新しい折り紙を取り出して手を止めた。

「先輩、亀の折りかた知ってます?」

「知らない」

 少女は諦めて鶴を折りはじめた。

 今日の二人の会話はこれまで。

 次はどんな問題を後輩が先輩につきつけるのか、その話はまた今度————

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