予知能力者の逃亡 解答編

「陸路。日本の話じゃないんだろ」

 青年はいつもの調子で即答し、本を開き直した。

「正解! さっすが先輩!」

 少女は机に両手を突き、勢いよく体を起こしながら青年を讃えた。

「先輩だったら、戦争だって回避できそうですね」

 笑顔というより、にやけるといった顔で少女は言う。青年は「どうかな」とつぶやき、少女の視線をよそに読書を続けた。

 それから青年が読書を終えるまで、少女は飽きることなく青年をにやけた顔で見つめながら「今日の晩ごはんはなにかなー」とひとりごちていた。

 今日の二人の会話はこれまで。

 次はどんな問題を後輩が先輩につきつけるのか、その話はまた今度————

  • Twitterで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る