天才博士の誤謬 解答編
「最初から博士が犯人だった。本来の殺人犯なんて存在してないんだよ」
青年はあっさりと答え、嬉しそうにしている少女を見つめた。
「逮捕された理由は!?」
少女は大きな目で青年を見つめ返し、もう一つの答えを求める。
「凶器が見つかったんだろ。犯行から博士が現在にもどってくるまでの間は文字通りこの世に存在してなかったんだ。物的証拠があるなら、どうやってアリバイを作ったかは本人に聞けばいいしね」
「さすが先輩!」
何事もなかったように本を読み始めた青年を、少女は鼻歌交じりに見つめ続けた。幸せそうな顔で青年を眺めているだけで、会話もなく時間は過ぎていく。ついには青年が読書を終えて、帰り支度を始めた。
今日の二人の会話はこれまで——
「そうだ、これ家で読んで」
別れの間際、青年は一通の封筒を少女に手渡した。今日の会話はもう少しだけ続くようだ。
「なんですかこれ?」
少女は不思議そうに封筒を見つめる。光に透かしてみたが中は見えなかった。
「読めばわかる」
他ならぬ青年から手渡された封筒である。少女は早く中身を知りたくて、急いで帰宅した。
今日の二人の会話はこれまで。
次はどんな問題を後輩が先輩につきつけるのか、その話はまた今度————
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