フォーク殺人事件 解答編

「第一発見者のヤマダさん」

 青年は栞を挟んだページを開きながら、こともなげに答えた。

「なんでですか!?」

 目をまんまるに見開いて、キラキラと音がしそうなほど瞳を輝かせて少女は訪ねた。あっさりと正解されたことが嬉しくて仕方がないといった顔である。

「根元まで刺さったフォークを見て、フォークだとわかったんだろ? 普通はナイフを連想するはずだよ」

「さすが先輩!」

 読書に戻った青年を見つめながら「次はどんな問題にしようかなー」と鼻歌交じりでつぶやいている少女。青年が読書を終え、帰り支度を始めるまで、ただただ嬉しそうに青年を眺めるだけで時間は過ぎていった。

 今日の二人の会話はこれまで。

 次はどんな問題を後輩が先輩につきつけるのか、その話はまた今度————

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る