お水をあげなくても、あげすぎても枯れちゃうんだって。
――或る男の重たい心の話――
熱情は砂漠に似ている。
恵みの雫は瞬く間に熱砂に吸い込まれて、まるで夢幻のようだ。
乾いた空を見上げて雨を乞う、さながら彼は仙人掌のごとく。
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百人一首
〇四三(権中納言敦忠)
逢ひ見ての 後の心に くらぶれば
昔は物を 思はざりけり
◦◦◦ 現代語訳 ◦◦◦
恋しい人とついに逢瀬を遂げてみた後の恋しい気持ちに比べたら、昔の悩みなど、何ほどのこともなかったのだなあ。
こちらの作品は、
『百人一首アンソロジー さくやこのはな』
の、参加作品だったものです。
素敵な企画に参加できましたこと、嬉しく思います!