絡みつくこの想いを断ち切りたいのだと、この呪縛から逃れたいのだと。そう願う気持ちがより思いを強くしていく。蔦はただ絡まるばかり。それは平安の世も現代も変わらない。現代高校生男子の身悶えるような想いを藤原定家の和歌によせて届けるこの作品。「やるかたなき」恋心を味わいたい方に。
かつての人物の想いへと、現代人だからこそ思いを馳せる。それは歴史を知る為か、或いは自分の心を知る為か。塩梅が良いんですよ、この作者様の作品はキャラ心理描写の塩梅が!時にもどかしく、時に際どくありながら、しっかりとキャラが立った話運びで信頼しながら読める短編です。是非。