第十四回 双頭の鷲(佐藤賢一)
<あらすじ>
◆ 上巻
時は、中世。イングランドとの百年戦争で、劣勢に陥るフランスに登場したベルトラン・デュ・ゲクラン。このブルターニュ産の貧乏貴族、口を開けば乱暴粗野なことばかり。だが幼き日より、喧嘩が滅法強いベルトラン、見事な用兵で敵を撃破する。神は、武骨なその男に軍事の大才を与えたもうた! 鉄人チャンドスは戦慄し、好敵手グライーは闘志を燃やす――。歴史小説の新たなる傑作。
◆ 下巻
ついに大元帥の位まで登りつめた、ベルトラン・デュ・ゲクラン。国王シャルル五世との奇跡のデュオは、民衆に希望をもたらした。破竹の快進撃を続ける武将は、いつしか生ける伝説に。だが、フランスで、スペインで、強敵に打ち勝ってきた男にも、黄昏は訪れる。その日まで―、男は太陽のように、周囲を照らし続けた。不世出の軍人と彼を巡る群像を描く歴史小説、堂々の完結編。
※引用:Amazon.co.jp
https://www.amazon.co.jp/dp/4101125317/ref=cm_sw_r_tw_dp_52mJxbWAYKZVK
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(上巻読了後)
佐藤賢一のベルトラン・デュ・ゲクランこそ、真なるベルトラン・デュ・ゲクランである。そう叫びたいほど、フランス随一の怪男児を著者は描き切っている。
本作は歴史小説だが、そう難しくはない。特にベルトランの描写となると、もうギャグ漫画の様相となる。そう、ベルトランの周囲には笑いが絶えないのだ。それが彼の魅力でもある。粗野にして繊細。乱暴にして人情家。下品にして、女嫌いの四十代童貞。だけど、戦の天才。激動の百年戦争を舞台に、苦境に喘ぐフランスに舞い降りた軍神の雄姿をご覧あれ!
(下巻読了後)
変わらない人間などいない。歳月を重ね、立場が変わっていけば、人は変わっていく。それは、稀代の英雄ベルトラン・デュ・ゲクランとて変わらない。この物語はベルトランの英雄譚だと思ったが、読了後それだけではないと判った。胸に残されたのはベルトランの活躍ではなく、人生の黄昏に訪れる寂寥感だった。この作品は、人生を教えてくれる一冊であり、佐藤賢一の最高傑作であろう。
なお、仏史が好きな僕にはベルトラン・デュ・ゲクランは馴染みある名将。百年戦争中の仏軍知名度においてジャンヌの後背を喫しているのか理解不能だ
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区分:フランス中世(百年戦争)
ジャンル:歴史小説
続編:なし
こんな物書きにオススメ:中世の歴史小説、ファンタジーを描きたい人
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