第二十八回 南海放浪記(白石一郎)
<あらすじ>
江戸は寛永半ば、若き日に生家を出奔した岡野文平は、息のつまりそうなこの地を捨て遠く海の彼方への飛翔を夢見ていた。そんな折りうまく御朱印船に乗り込み南へと向かうのだが…。東南アジア各地を巡った文平の旅は幕府の鎖国政策の完成期にあい、ついに再び日本の地に辿りつくことはなかった。大望に燃えた青年の数奇な一生を描いた海洋長編小説。
※引用:Amazon.co.jp
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鎖国前夜の日本。主人公の岡野文平は、日本での生活に限界を覚え海外で一旗挙げよう海外に乗り出すのだが――っと、いう所から物語が始まり、海外に渡ろうとしてたが、困難に継ぐ困難に見舞われながら、それを乗り越えて成長し、生きる場所を見出していくというストーリー。
さて、物語の時代は山田長政死後から始まるので、海外でブイブイ言わせていた日本人勢力が斜陽の時期でしょうか。日本に引き上げるのか、そのまま留まるのか、日本に帰った男を待つのか、待たないのか。そこで描かれる悲喜交々が人間をよく捉えていて、また平易ながら巧妙な文体には心地よさもあり、物語に没入させます。
ラストは予想出来るものですが、それでなお満足させるのだから白石御大は本当に凄い。
同著者の作品には山田長政を描いたものもあるので、そちらを先に読むと一つの時代の終焉を、より侘しく感じられるかもしれません。
時代小説ですが、旅行記的な側面もあるので飽きる事がないと思います。
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区分:江戸時代
ジャンル:時代小説
続編:なし
こんな物書きにオススメ:江戸時代の外交や外国人関係で時代小説を書きたい人
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