第十七回 眠狂四郎無頼控(柴田錬三郎)
<あらすじ>
徳川二百年の泰平が文化・文政の爛熟を生んで、人情、風俗ともに頽廃した江戸を舞台に、異端の剣客眠狂四郎を登場させ、縦横無尽の活躍を描く。ころび伴天連が大目付の娘を犯して生ませた混血特有の風貌で女をひきつけ、しかも平然と犯し、異常の剣“円月殺法"をふるって容赦なく人を斬る。昭和31年「週刊新潮」の創刊とともに登場するや大反響をまき起した著者の代表作である。
(第一巻より)
※引用:Amazon.co.jp
https://www.amazon.co.jp/dp/4101150060/ref=cm_sw_r_tw_dp_x_Gl68xbHPHZTQH
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市川雷蔵の声が、ページをめくる度に蘇る。それだけで、胸が震え、目頭が熱くなる。
稀代の二枚目が演じた、稀代の二枚目の物語。その原作作品です。
主人公の眠狂四郎は、転びバテレン(棄教したキリシタン)と日本人のハーフという暗い生い立ち故か、女を抱き捨てても平然としている、虚無感を漂わせるニヒルな男。人の命にも自分の命にも冷淡でシニカル。斬って悔まず、抱いて愛さぬ非情なろくでなし。
しかし、彼は文壇でも銀幕でもヒーロー足り得た。
何故か?
それは、狂四郎の幼い子どもや筋を通す者に見せる表情に、彼の隠しきれない優しさが滲み出ていて、それが堪らないほどカッコいいからなのだ。
レイモンド・チャンドラー風に言えば、狂四郎の魅力はこうだろう。
「If I wasn't hard, I wouldn't be alive. If I couldn't ever be gentle, I wouldn't deserve to be alive.」
(タフでなければ生きて行けない。優しくなれなければ生きている資格がない)
拗ね者の狂四郎は基本優しくないのだけど、弱き者には優しいのです。
本シリーズはそんな狂四郎が、様々に事件に顔を突っ込む連作短編集。今の時代に柴錬の作風は古く感じるかもしれないが、読まないのは損。エンタテイメントの全てが詰まっています。シリーズは長いし、映像化も市川雷蔵をはじめ名優が好演。
おすすめです!
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区分:江戸時代
ジャンル:時代小説
続編:あり
こんな物書きにオススメ:ニヒルなハードボイルドを書きたい人
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