第四回 のぼうの城(和田竜)
<あらすじ>
時は乱世。天下統一を目指す秀吉の軍勢が唯一、落とせない城があった。武州・忍城。周囲を湖で囲まれ、「浮城」と呼ばれていた。城主・成田長親は、領民から「のぼう様」と呼ばれ、泰然としている男。智も仁も勇もないが、しかし、誰も及ばぬ「人気」があった―。
※引用:Amazon.co.jp
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この作品を読み終えた時、僕はこう呟いたのを覚えている。
「こりゃ売れるわなっ」
いや面白いです。掛け値なしそう思えますした。
ライトで、平べったい歴史小説ですけど。
この作品が売れる理由を考えた時に、以下の要因が挙げられます。
・愛らしいキャラクター
・読みやすい文章(書き方に癖はあるが)
・明確な善悪と価値観
・作中に漂うライトな雰囲気
・昨今の戦国ブームが後押し
石田三成も、これでもかというほどイケメンアピールされていたし、忍城攻め後の雰囲気も清々しさがあり、ある種スポーツの様。
まるで、映画のような感覚。っと思ったら、脚本家出身と聞いて納得。
主人公の成田長親は「のぼう」と呼ばれるほどの、無能者。無能だが、「ほっとけない奴」として、人望だけはある。
その成田長親が三成との開戦時に、啖呵を切ったセリフが何とも痛快。
「武ある者が武なき者を足蹴にし、才ある者が才なき者の鼻面をいいように引き回す。これが人の世か。ならばわしはいやじゃ。わしだけはいやじゃ」
「無能で、人が好く、愚直なだけが取り柄の者は、踏み台となったまま死ねというのか。それが世の習いと申すなら、このわしは許さん」
見事です。和田竜。あっぱれです。
弱肉強食、下克上の世にあって、それを真っ向から否定。それは、現代の「負け組」を元気づける、ある意味で「俺ら弱いんだから、守れよ」という見方も出来ました。
そりゃ、売れますな。
正直、僕は舐めてかかって読みました。「どんなもんじゃい!」と。
今では、すっかり和田竜のファンになっています(笑)
ライト歴史小説いいじゃないですか。本格派だけでは肩が凝りますし。
時々、著者の視点が入る書き方は嫌いですけどね!
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区分:戦国時代
ジャンル:歴史小説
続編:なし
こんな物書きにオススメ:無能者を支える系の話を書いている人
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