第四回 のぼうの城(和田竜)

<あらすじ>

時は乱世。天下統一を目指す秀吉の軍勢が唯一、落とせない城があった。武州・忍城。周囲を湖で囲まれ、「浮城」と呼ばれていた。城主・成田長親は、領民から「のぼう様」と呼ばれ、泰然としている男。智も仁も勇もないが、しかし、誰も及ばぬ「人気」があった―。

※引用:Amazon.co.jp

https://www.amazon.co.jp/dp/409386196X/ref=cm_sw_r_tw_dp_quQyxb3WW1YXG


◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇


 この作品を読み終えた時、僕はこう呟いたのを覚えている。

「こりゃ売れるわなっ」


 いや面白いです。掛け値なしそう思えますした。

 ライトで、平べったい歴史小説ですけど。


 この作品が売れる理由を考えた時に、以下の要因が挙げられます。


・愛らしいキャラクター

・読みやすい文章(書き方に癖はあるが)

・明確な善悪と価値観

・作中に漂うライトな雰囲気

・昨今の戦国ブームが後押し

 石田三成も、これでもかというほどイケメンアピールされていたし、忍城攻め後の雰囲気も清々しさがあり、ある種スポーツの様。


 まるで、映画のような感覚。っと思ったら、脚本家出身と聞いて納得。


 主人公の成田長親は「のぼう」と呼ばれるほどの、無能者。無能だが、「ほっとけない奴」として、人望だけはある。

 その成田長親が三成との開戦時に、啖呵を切ったセリフが何とも痛快。


「武ある者が武なき者を足蹴にし、才ある者が才なき者の鼻面をいいように引き回す。これが人の世か。ならばわしはいやじゃ。わしだけはいやじゃ」

「無能で、人が好く、愚直なだけが取り柄の者は、踏み台となったまま死ねというのか。それが世の習いと申すなら、このわしは許さん」


 見事です。和田竜。あっぱれです。

 弱肉強食、下克上の世にあって、それを真っ向から否定。それは、現代の「負け組」を元気づける、ある意味で「俺ら弱いんだから、守れよ」という見方も出来ました。


 そりゃ、売れますな。

 正直、僕は舐めてかかって読みました。「どんなもんじゃい!」と。

 今では、すっかり和田竜のファンになっています(笑)

 ライト歴史小説いいじゃないですか。本格派だけでは肩が凝りますし。


 時々、著者の視点が入る書き方は嫌いですけどね!


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区分:戦国時代

ジャンル:歴史小説

続編:なし

こんな物書きにオススメ:無能者を支える系の話を書いている人

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