砂糖はいかが。

作者 赤坂 パトリシア

他者との距離の不安定さ

  • ★★★ Excellent!!!


 特定の時代や状況に限らず、立場や経験によって物事の価値や見方は変わります。
 砂糖を紅茶に入れるという、たったそれだけの行為ですら人によって見方は変わってしまう。
 
 そして価値観の違いの大きさに気づいたとき、相手との距離を感じてしまい、昨日まではすぐ隣にいた人が遠くなる。それがどれほど愛し近しい人であっても。

 人は同じ経験を積むことはできません。
 同じ経験したからといっても同じ見方をするわけでもありません。
 まして、周囲の人が知らないことを経験したなら猶更です。

 そういった、身近に潜む、他者との距離の不安定さをこの作品では実感できます。
 歴史時代小説の形で、普遍的な人の在り方を丁寧な描写で示した作品だと感じました。

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