剣を握るそれぞれの理由

題名が示す通り、これは剣を巡る物語である。
魔剣と呼ばれる百振りの存在を封じるために三人の若者が、剣を握る。
それぞれが握る剣の形も理由も異なるが、彼らの中には通じ合うものがあり、それが戦いの中で次第に繋がり合って行く。

三人のうちの一人、寒村で暮らしていたシホは、その力を見出されて剣を封じる巫女となった。
生まれ持った力は強いが素朴な村娘に過ぎない彼女。物語の序盤では周囲のめまぐるしい情勢や次々起こる問題に萎縮している様子すら伺えたが、その純粋なまでの優しさは彼女の内面の成長に伴って、それこそひと振りの剣のように強靭となる。
思い切りの良さとひたむきな言葉。実は誰よりも強いのではないかと思わせるには充分である。

百の魔剣を巡る戦いがどのように変化し、そして三人を成長させていくのか。
今後の展開が非常に楽しみである。

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