いつか、咲きほこる花の下

作者 かみたか さち

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★★★ Excellent!!!

 ちょっとしたネタバレ注意です。

 異星人であるテゥアータ人に支配されて久しい地球での物語。
 支配、と言っても地球人は狭い地区ながら自治が認められていて、テゥアータ人とも比較的平和な関係を抱いていた。
 その自治区である「地郷」で公安部員となった主人公、マサキと、幼なじみのサクラを中心とした人々の生き様を描いている。

 冒頭こそ殺伐とした雰囲気で始まるが、話の序盤は比較的のんびりとしていて、最後までこんな雰囲気なのかな、と思っていた。すっかりあのオープニングは記憶のかなたへと押しやられていた。
 が、テゥアータとの関係が悪化するにつれ、事態はとても深刻になっていく。
 マサキとサクラ、テゥアータの役人のセオの関係も、変化し始める。
 幼いころにはただ漠然と「みんなの笑顔を守る人になる」と誓ったマサキの思いも、形を変えていく。

 異星人どうしでは、一度広がった溝を埋められないのか。
 大きな流れの中では、一個人の力は無力に等しいのか。
 この作品が語りかけていることはそのまま、現代社会で問題となっている人種差別や、もっと身近ないじめといったことに繋がってくるのか、と考えると、とても重いテーマだ。
 変わりゆく情勢の中で若者達が出す結論を最後まで追いかけてほしい。