理想と現実の物語

欲しい物が気軽に手に入るうえに支払いも要らない。働かなくても良い、夢のような世界。
主人公はそんな世界に疑問を抱き、様々な手段を用いて出ようとする。
この世界は何なのか? どうして自分が此処にいるのか?
そんな素朴な疑問が次第に明らかになっていく。

この話には色々な「理想」と「現実」が存在する。
何かをしようと思って手に入れたものが、全く役に立たない。
こうしたいと思って行動しても、何の意味も成さない。
こう在りたいと思って努力しても……。
主人公はいくつもの理想を抱いては現実を叩きつけられる。
そしてそれを繰り返しながらも、彼女は前へ進んでいく。

作中の全ての人間が理想と現実を持っている。
その全てを手放しで賞賛することも、真っ向から否定することも出来ないだろう。
登場人物たちがそれぞれ抱える理想と現実。それぞれの立場になって物語を読むと、更に奥行きが増してくる。



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