そこは虚構の楽園。しかし彼女は痛みを選ぶ。

 何でも無料で手に入る楽園のような場所が舞台。そこでは何もかもが満たされていて、それを享受することが許されていた。
 しかし、主人公はその「楽園」に疑問を抱いてしまう。ここはどこなのか? どうして全てが無料なのか? この先には何があるのか? それらの疑問を解決すべく、様々な方法を駆使していく主人公とその理解者。
 そして主人公はその「楽園」が虚構だという事実を知ってしまう。しかも、「楽園」は主人公を残酷な現実から救い出そうとして、作られたものだった。彼女は「楽園」の構造を知り、痛みまみれの現実と向き合うべく、「楽園」からの脱出を試みるのだが……⁉ 果たして彼女の向かう先に希望はあるのか? 力強い彼女の選択に、作者の強いメッセージ性がうかがえる秀逸な作品です。
 前作『夜勤』からのファンで、この作者様がコンテスト参加したことを知って、すぐに読み始めました。前回の御作『夜勤』の設定も素晴らしかったのですが、今回の作品を拝読して、世界観の作りこみ方は群を抜いていると改めて感じました。
 読んで絶対に損はない、素晴らしい作品です! 
 是非、その目で今まで見たことがない世界観を堪能して下さい!

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