何でも無料で届くAmazouは、『幸せ』も届けることができるのか?

気がつくと、あらゆるものが通販『天蔵』(Amazou)から届くユートピアにいた主人公の律歌。
彼女は、気の良い友人の北寺と一緒に甘く幸せな日常を送っていた。

何の不自由もない、何の苦しみも、何の辛さもない世界。

しかし、そんな世界に彼女は少しずつ疑問を抱き始める。
彼女は果たして、世界の真実を探り当てることができるのか?
あらゆるものが届くはずの通販『天蔵』が届けられないものを手にするための、彼女の試みは始まった。


後半の真実が次々に明かされていくくだりは、目を離せません。

幸せとは何なのか。
生きるとは、どういうことなのか。
夢を実現するということは、どういうことなのか。
そして。その裏に隠された、痛烈な現代日本や現代社会に対する問題提起。
果たして、現実に生きる私たちは何を目指していくべきなのか。
そんなものを読みながら考えさせられました。

そして同時に、彼女の行動力と彼女の選択、彼女を取り巻く二人の人物の行動と選択にも胸を躍らされました。

何度も何度も否定されながらも、それでも『夢』を持つことは素晴らしいと、そう強く思わされる作品です。

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