概要
口約束さえなかったけれど、私にはそれしかなかったの。
そうなるはずもなかった。彼女が、現れなくとも。
数多の竜が生息する、空に浮く数多の島からなるアローヴォス諸島国。
この国では、竜と心通わせ言葉を交わす力を持つ娘のことを、《竜巫女》と呼び崇めてきた。今代《竜巫女》の中でも一番の力を持つエルリアは、唯一の独身である第三王子アルフのもとへ嫁ぐだろうと噂されており、彼女もそれを信じていた。
しかし、ある日。一介の商人の娘であるキヨラが、アルフの妻となる。商人と王族という身分違いの婚姻が実現したのは、キヨラが《竜巫女》の素質を持つせいだった。その話を聞きつけ、エルリアは動揺する。
悪役になることで自分を守ろうとした少女と、正義にならざるを得なかった少女と、それを知りながら正義を愛した王子の話。
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