第38話「アルコール・レビュー 」

「次、これ頼んでみようぜ!」


「じゃあ僕がこれ頼んでみるよ!」


 と、友達が言った。友達とバーに来ていた。酒の事はあまりよく分からないので適当に頼む事にした。しばらくして酒が来た。


「じゃあ感想を頼むよ!」


 と、俺が言うと友達は、グイっと飲み干してから……


「貴婦人のような振る舞い。初夏の青さを持ちながら、ほのかなウェットさも兼ね備えている。舌に絡む、まろやかさは柔らかく、さざ波を立てていく。余韻は短いのだが、またそれが初々しくもある、そんなお酒だ」


 と、友達はお酒の感想を言った。


「お前、よくそんな言葉がポンポン出て来るな!」


「ほろ酔いがまた、僕を饒舌(じょうぜつ)にさせるんだよ」


 と、友達が言うので、だから俺は言った。


「酔ってんのは







 自分にだろ!?」


おしまい


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