第19話「おおきくな~れ!」

『はあ~又、おっぱいかよ!どんだけ男は、おっぱい好きなんだよ~』


 ある所に女学生がいました。女学生は胸の事で悩んでいました。


『身長だって顔だって、くびれもあるし、お尻だってそれなりなのに……どうして胸だけないのですか?えっ神様!!』


 女学生は神様を恨みました。


『神様のバカ~!おっぱいが大きくなりたいよ~!』


『その願い叶えてあげましょう!』


「えっ!?誰?」


『神です』


「えっ!誰なの?」


『だから神ですってば!疑り深いなあ。じゃ、サクッと大きくしちゃうよ~』


 女学生の頭の中で声が響いたかと思うと……


ムクッ!ムクムク……


「えっ!?」


 女学生は大きくなる自分の胸に驚いた!


「やった~!大きくなった~」


『とりあえず初回はこのぐらいにしとくからさあ。いきなりボン!じゃ周りもビックリ~。アイツ整形じゃね!?な~んてやっかみあると大変だもんね~、じゃあペイソ~!』


 と、軽いノリで神は消えた。女学生は膨らんだ自分の胸を揉んでみた。


『ほっ本物だ!』


 女学生の顔に満面の笑みが浮かんだ。


「神様~!ありがとう」


 青空で星が、キラッと光った気がした。次の日……


「きっ!キツ~イ」


 セーラー服がきつかった。胸がとにかくキツいのだ。


『あれ!?昨日よりも大きいかも』


 それからの生活は大変だった。


「えーっ!この服、お気に入りだったのに~」


 胸がつかえて、お気に入りのワンピースが着られなくなった。


「あ~肩こる~」


 女学生の肩に、ずしりと重みが加わった。今まで使った事のない筋肉が悲鳴をあげた。次の朝……


『うっ、うつぶせ寝キツい~』


 安いベッドはかたくて、胸が痛かった。


『てか可愛いブラないよ~!しかも高い~』


 経済的にも、おしゃれにも大変になった。それから彼との回数も増えた。だが、新たな悩みが生まれた。明らかに女学生を見ているのではなかった。


『ちょっと全然、私見てないじゃん!どこ見てんのよ~!そこはおっぱいでしょ!?』


 彼の視線の先は、絶えずおっぱいだった。


『ちょっと~!私に会いに来てるんじゃなくて、おっぱいに会いに来てるんでしょおおお!?』


 女学生は彼に無性に腹を立てていた。彼だけでなく、世界中の男が自分の胸を見ている気がした。

 そして、時は西暦20XX年。人類はオパイ戦争に突入した。


「なーんてお話は面白くない?」


 休み時間、机をはさんで会話する女学生二人。


「それ、胸のない私を慰めているつもり?」


「いーじゃん私なんか、ボンキュボンなのに、彼氏いないんだからあ!」


「じゃあ、私がお話を作って、慰めてあげるよ!……ある所に女学生がいました。はあ、なんで彼氏いないんだよ~。ボンキュボンなのに~。神様のイジワル~!って言ったら神様が現れて……」


「って何だよそれ、パクリじゃねえか!?」


 そして、女学生二人は大笑いしたのだった。


おしまい



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