SS ミズキ・ギャグ(*>∀<*)ノ
草風水樹(くさかぜみずき)
第1話「ショットバー」
カランカラン
ウェスタン調の内ドアをあけて、これまたウェスタン調の服装の客が入って来た。客の男が腰には、ガンベルトに入れられた銀の銃、SAA(シングルアケションアーミー)が光っていた。
「よぉ!オヤジ。いつものくれ」
カウンターの端で客の男が言うと店のマスターは、ワイルドターキーをタンブラーにストレートまま注ぐと、客の男に向けてカウンターの上を滑らせた。
スーーー、パシン!
客の男はタンブラーを受け取ると、グイッと飲み干した。
「てめえ!決闘だあ」
奥の席から声がし、騒がしくなった。
「やってやろうじゃないか、表に出ろ!」
そこにマスターが一言言った。
「外は勘弁してくれ、保安官が来ちまう。客の皆さん、ちょっとご協力お願いします」
そうマスターが言うと、他の客がテーブルをどけ空間を作った。
「さあ!やるぞ」
二人の男が背を向けあって、店の中央にたった。
「では、マスターの自分が決闘の立会人を務める!双方、覚悟は良いか?」
二人の男がうなづく。
「では、10歩歩いてから振り向いて撃つように!まず1歩」
男たちが左右に分かれる。
「9!10!!」
その瞬間、男たちは振り向きざまにガンベルトから銃を抜く!!
「ガハッ!俺がやられるなんて」
勝負は一瞬だった。片方の男は膝から崩れて言った。
「早打ちジョニー!それが俺の名さ。と、言ってももはやコイツには聞こえないかな?今頃、地獄行きのトレインに乗ってる頃だしな!!」
そう男は言ってカウンターに向かった。マスターは新しい酒をタンブラーに注いだ。
「すげー!ジョニーすげーよ!!」
パンパン!
と、周りの客は銃を取り出し上に向けて感激の砲を放った!
「おいおい!勘弁してくれよ。雨漏りがひどくなるだろ!?」
と、マスターが言うと、客たちはゲラゲラ笑った。
「いや~、やられたやられた!!」
みんなの笑い声を聞いて、先ほどやられた男が立ち上がった。
「マスター!ビール」
マスターはその男にバドワイザーを出した。
「店が盛り上がりましたね!」
やられた男がマスターに言う。
「ああ、イベントやって良かったよ!!」
『最近、売り上げが減ってたんだよなあ』
店主は内心、ホッとしていた。
今日は月一で開催されるショットバー名物『ウェスタンカーニバル』の日。
パンパン!
店のアチコチには的があり、射的も楽しめた!もちろん、ど真ん中なら、好きな飲み物一杯無料だ!
来店する客たちは、みなウェスタン調の服装とエアガンやモデルガンを持ち寄り、ウェスタン気分でお酒を飲んで楽しむのだ。
パンパン!
その様子を見て、常連客の一人が言った。
「これがホントのショットバーだな」
パン!
おしまい
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