第17話「だるまさんが転んだ 」
「これより、だるまさんが転んだを行う」
そう声がすると、中央の床から、柱が出て来たかと思うと、その柱の根元に、達磨がいた。達磨は柱の方を向いて言った。
「だるまさんが転んだ」
そう達磨は言うと振り返りこちらをみた。
「あっ!」
ドテッ
誰かが転んだ音がした。
「イタタタ!」
と、いう声と共に、ジュウ!という音がし、その人は蒸発した。
「言い忘れていたが、高性能センサー内蔵の達磨ロボットだ。お前らが少しでも動いたら、目からのレーザーで蒸発する」
どうしてこうなった!?思い出そうとしても思い出せなかった。ただ……
「これヤバいよな?」
「ああ、なぜここにいるのか分からないが、ヤバい事は分かる!」
周りにいる奴ら、みんなが同じ思いのようだった。
ジュウ、ジュウ、ジュウゥゥー
あちこちで人が蒸発した。
だるまさんが転んだ?そんなの子どもの時にやった以来だぞ!?何だってこんなゲームに放り込まれたんだ!?
「だけど、動かない限り攻撃が出来なくね?」
「じゃあ寝るか!」
しかし寝相まではコントロールは出来ない。いつしか人間は減っていった。
「やるしかねえな」
「ああ」
「あの達磨ロボットにタッチさえすれば、俺たちの勝ちだ!」
残った俺たちは、生き残るために達磨ロボットに立ち向かった。
誰でもいい!誰かが達磨ロボットにタッチさえすれば……
「タッチ!!」
俺たちはタッチした。
「やったー!勝ったぞー!!」
柱が下がっていく。
「それではカウント開始!10、9、8、7、6……」
忘れてた!だるまさんが転んだには続きがあったんだ。
俺は必死に走った。
「ストップ!」
達磨の声に俺たちは止まった。達磨ロボットを見る。
ああ、このあと、大股何歩だとかあるんだっけ。で、やってきた達磨ロボットにタッチされたら、そいつが鬼になるのか?そうしたら、俺は助かるのか?
そんな事を考えていると、ドオンと背後から音がした。
振り返ると俺たちの目の前に現れたのは……沢山の人間たち。ゲームのルールは違っていた。
「これより、だるまさんが転んだを行う」
アナウンスが響いた。また同じ事が繰り返されたのだった。
◇◇◇
人間たちを見て密かに笑う者たちがいた。
「やつらは現世での行いを全く覚えてはいませんね!」
赤鬼が言った。
「まあ、いちいち自分の悪事を覚えてはいやしねえよ!そもそも悪い事をした意識すらないしな」
青鬼が言った。そして閻魔が言った。
「少しでも良心のある頃を思い出させようとして……
せっかく今風に地獄を変えたのだかな」
おしまい
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