WEB小説界には珍しい基本に忠実な王道ホラー

 小説現代辺りに載っていそうな背骨のしっかりしたホラー小説です。話も構成も王道で飛び道具に頼っておらず、それでいて筆致豊かに書けているので十分に面白くて怖い。

 どうも僕の印象的にWEB小説界は「待たせたら負け」的なところがあって、起承転結で言うと起と承を即座に終わらせて(場合によってはすっ飛ばして)転を連発する作品が多い雰囲気を感じるのですが、この小説は「起」と「承」の下準備で手を抜かないことにより作品世界に読み手を浸らせ、登場人物の感じている恐怖を共有させることに成功しています。

 音も無くじわじわと迫る恐怖とその爆発、そして綺麗には終わらない結末。ホラー小説のお手本のような作品でした。未読の皆様は、是非ご一読下さい。

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