D大学映画サークルの面々は、限界集落――浪浜村へと向かう。彼らの目的は、『限界集落の過疎化』という社会現象に目を向けてもらうためのPR活動だったのだが……。
地方の物寂しい寒村って、それだけでホラーの舞台としては最高ですよね。ミステリーにおける嵐の山荘と同じくらい。
かなりリアリティを追及したホラーですが、そのリアルさが、じわじわと恐怖感を募らせていきます。特に村人達の『腹に一物あるといった態度』が怖いんですよね、これ。
亀裂が走る人間関係。具現化する村人達のおぞましき狂気。とある人間の裏切り。そしてその先にあるものは――。
本物のホラーがここにある。凄惨な描写に耐性を持つ方、是非ご一読を(⌒∇⌒)
悪夢は終わらない――。
正直に言おう。少し漏らしてしまったかもしれない。いやこれ本当に。
章を追うごとに徐々に近づいてくる恐怖。恐怖のあまり読みながら鼓動が早くなって行くのがわかったほどだ。
しかも、伏線をしっかり回収しつつ想定外の恐怖をぶち込んでくる書き方、私はかなり好きだ。
さらにしっかりとした設定は本当にこのような村があるのでは無いだろうかと思わせるようなリアリティさを生み出し、それがより幽霊では無い人間の怖さを感じ取れるようになっていた。
私はしばらく都会からは出れそうにない。読み終わってから一人でいるのが怖くなってしまったので、今からコンビニへ行ってこようと思う。
小説現代辺りに載っていそうな背骨のしっかりしたホラー小説です。話も構成も王道で飛び道具に頼っておらず、それでいて筆致豊かに書けているので十分に面白くて怖い。
どうも僕の印象的にWEB小説界は「待たせたら負け」的なところがあって、起承転結で言うと起と承を即座に終わらせて(場合によってはすっ飛ばして)転を連発する作品が多い雰囲気を感じるのですが、この小説は「起」と「承」の下準備で手を抜かないことにより作品世界に読み手を浸らせ、登場人物の感じている恐怖を共有させることに成功しています。
音も無くじわじわと迫る恐怖とその爆発、そして綺麗には終わらない結末。ホラー小説のお手本のような作品でした。未読の皆様は、是非ご一読下さい。