しがらみの中で正しく狂う美しい花

時期外れに咲く花が狂い咲きなら、この椿の咲きようは、いみじくも正しい。

江戸を舞台に描かれるのは、倒錯的なお家騒動。主人公の美緒は、世話を仰せつかった幽閉者・椿の狂態にそぐわない聡明な本性に気づいていく。
寄り添いは思慕へと変わり、やがて二人には恋情と信頼が生まれる。

あくまでひとり咲こうとする椿。宿命に張り巡らされた網。花首が落ちる日を待ちわびる狡猾な蛇。

その間をつなぐのも解くのも美しい緒。強く優しい彼女を応援せずにはいられない。
いつか二人で自由な空を見られる日が来るように。

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