概要
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- ★★ Very Good!!筆力は十分だが、足りない部分も多い
敵、味方ともにキャラクターが良く書けている。悪役の憎たらしさとエキセントリックさはなかなかのもの。
しかし、全体的な分量の問題をいうと、ちょっと物語前半の分量が多すぎ、逆に、後半は少なすぎる。特に、遺跡に到達して鍵の正体が判明してから、決着がつくまでが早すぎる。あと一転くらいはしてほしい。なにより、肝心のSF要素である巨人がほとんどなんの活躍も見せずに話が終わってしまうのが残念。
第五章の「PMC部隊とCIAの工作部隊、またそのどちらにも属さないヒュペルボレイオス達とが、三つ巴の攻防戦を繰り広げていたらしい」という部分は、主人公の推測で終わるのではなくて、ちゃんと書いてほしかったところ。
…続きを読む - ★★★ Excellent!!!クレタ島で眠っていた「鍵」を巡り、極寒の雪原が血の赤に染まる
ヒュペルボレイオスとは、ギリシャ神話に登場する民族の名だ。
彼らは極北にある常春の理想郷に住み、太陽神アポロンを崇拝し、
その地の入口を「絶壁に宿る生命」によって守っているという。
本作はその謎の民族とオーパーツ、大国の軍事的野心を巡るSFだ。
主人公である考古学者のヴァレリーはクレタ島の遺跡から、
そこにあってはならない時代錯誤の遺物を見付けてしまう。
これによりロシアを追われた彼はアメリカへの亡命を決めるが、
アラスカ上空を移動中、ヘリがエンジントラブルで墜落する。
凍死しかけた彼を拾ったのは、イヌイットの混血少女ヤコネ。
曽祖父と2匹の愛犬と共に極寒の大自然で生きる逞しい彼女に、
…続きを読む - ★★★ Excellent!!!亡命考古学者とアラスカの少女、そして遺物の謎。
ロシアから米国へ亡命中、乗っていたヘリがアラスカで墜落。
考古学者ヴァシリーを助けたのは、ぶっきらぼうな物言いの少女だった。
発掘中に見つけたある物のために、追われる身となったヴァシリー。
助けてくれた少女ヤコネが、とにかく魅力的です。
カタコト英語での会話は、命令口調。
誇り高い狩人で、ライフルは凄い腕前。
狩った獲物をその場で捌き、ワイルドな食材を「食え」と勧めてくれます。
彼女たちイヌピアット族にとっては、恐らくご馳走なんでしょう。
何度も吐きつつ、毎回受け取ってチャレンジするヴァシリー。
アラスカに生きる者の生の暮らしぶりを目の前で見ているかのような描写に、すっかり惹きこまれてしま…続きを読む - ★★★ Excellent!!!アラスカに生きる少女と、ありうべからざる遺物と
ふぁー、面白かった。
本作は、重大な秘密を握ったまま北辺に遭難した考古学者と、それを救ったイヌピアックの少女との交流を描く作品だ。考古学者の抱いていた秘密のアイテムの使い道は、本作後半に明らかになっていく。
本作ではまず、アラスカの広漠とした大地の描写と、イヌピアックの少女の伝統的な部分を多く保つ生活の描写とが、大変丹念に描かれる。
これが本当に面白くて面白くて、もちろん良い意味で、私は一体なんの小説を読んでいたんだろう? 確かSFジャンルの小説を読んでいたはずなのに……! と思うほどに没頭してしまった。もちろん、作品後半には怒涛のSF的な展開が待っている。そして、前半のアラスカの大地…続きを読む