バゲットと カンパーニュは 永遠の記憶。

痛々しいほどに 自分の背中の羽を織り込んで 紡がれた ストーリー。
時に 自分を傷つけることを 恐れず
敢えて 苦しい表現を貫き通して 完結に至ったことは
この作家にとって、必ず血肉になっていくだろう。

それでも 私は この話に 絶望よりも 希望を見い出す。
誰かの記憶の中に 深く深く潜り込んで
ほんの時折 水面に顔を出すだけであったとしても。
ラストシーンで 語られた 二人を懐かしむ 会話の中に。

自分は 了見が狭い人間だから、どこかで
身体の関係が 男と女であったことに 安堵してしまった。
それがまた 悲劇を生み出すにも 拘らず。

それでも 大切な人が お互いの人生に 存在したことに
やはり、どうしても 強く 想いを馳せてしまうのだ。

本当は 向き合いたくなどない。
でも、誰もが いずれ 命に向き合う作品を 書くことになる。
そんな 気がして、覚悟をしてみた。

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