第14回「ロボフッカー」

「ロボフッカー」

2045年 アメリカ

監督 マイク・プリチャード


あらすじ……高級コールガールのキャロルはある日、仕事の帰り道で事故に巻き込まれ人体の60%を失い、死を待つのみの重体に陥る。医師たちが彼女の命を救う事を諦める中、マッドサイエンティストで余命僅かなゴードン博士は彼女の肉体をアンドロイドとして改造し命を救う事を決意、かくしてキャロルはゴードン博士の手によってアンドロイド化され、命を救われる。だが、商売道具でもあった自らの体が機械に変わった事で仕事を失い、他の仕事の当てもないキャロルは失望し、ゴードンに自らを殺すように懇願する。だが、ゴードンは彼女にセクサロイドとしての機能を移植させ、ロボフッカー(ロボ娼婦)として彼女を作り変えた後に病気が悪化しこの世を去ってしまう。新しい機能を得たキャロルは、世にも珍しいロボフッカーとして再び夜の商売へ戻っていくが、それが彼女の人生に変化をもたらしていく。


[レビュー]

 21世紀の映画史に残る超サイバーパンクSFポルノ映画。本来ならB級映画というよりかはポルノ映画に分類するべきだが、あまりにもインパクトが強く、内容が凄まじかったので今回レビューする事にした。


 かつて20世紀の古典SF映画に、死亡した警官がロボットの警官として蘇り、悪と戦うという「ロボコップ」というシリーズがあったのはご存知だろうか?21世紀の初頭にリメイク作品も出た名作シリーズであるが、今作のプロットは限りなくそのロボコップに似ている、ポルノ映画で主人公が娼婦という点を除けば。当然ながら公開当時はネットでも物議を醸したが、ジャンルがジャンルなので大騒ぎには発展しなかった。


 しかし題材は22世紀の現在から見ればかなりシリアスでリアリティがある。AIではなく人間の心と身体の一部を持った女性が、セクサロイドとして活動していくという物語はかなりショッキングかつ物議を醸す内容であるし、まだセクサロイドも普及しておらず試験運用段階であった時代の作品だけあって、当時の人々の反応もその後の歴史とほぼそっくりそのままであり、単純なポルノ映画に収まらない重いテーマが作品の中に秘められている。


 娼婦としての生き方しか知らなかった女性が、その後の社会へ出るも馴染めずに挫折していくという中盤までの物語こそ辛いものの、セクサロイドとしての身体を手に入れた彼女がその身体を武器に再びかつての自分を存在させた夜の世界へ戻っていくという斬新な展開や、機械の身体を駆使して様々な成功を収め、さらに世直しや人助けまでしていくというストーリーはまさに予想の斜め上で、現在から見ても興味深く楽しめる作品になっている。


 後にこの「ロボ娼婦の世直し人情ポルノ」が大いに受けたのか、このロボフッカーはあろう事かシリーズ化していき、4作目まで作られる事になったという。一説には特殊な性癖を持つ人々からの熱狂的な支持があったらしく、3作目以降はクラウドファンディングで製作され、凄まじい利益を生み出したとの事だ。大人向けのポルノ映画ながら、知られざる怪作である。

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