21世紀B級映画研究序説

大佐

第1回「戦艦」

「戦艦」

2028年 アメリカ・日本合作映画

監督 アンディ・ベックマン


あらすじ……かつて世界最強と謡われた日本海軍の誇る弩級戦艦大和。1946年の太平洋戦争終戦後、アメリカ海軍に接収され、やがて海上自衛隊に返還された大和はイージス戦艦としての一生を終え、ついに太平洋合同軍事演習を以てその老体を記念館として転用する日に近づこうとしていた。だが、突如として宇宙から謎の巨大生命体が飛来、さらに追い討ちをかけるように太平洋海溝から太古の巨大生物が眠りをさます。これに対処する世界各国の海軍の軍艦はなすすべもなく破壊されて、核兵器ですら歯が立たない。唯一生き残った大和は、ついにその巨砲を暴れ狂う巨大生命体へ向ける。地球のため、全人類を救うため、大和は出撃する!


[レビュー]

 上映当時盛大にコケたと言われるB級アクション超大作。


 太平洋戦争時に存在した戦艦大和が現在まで生き残っていたら……?という歴史のIFストーリーを軸に戦争アクションを撮ったのかと思いきや、まさかの怪獣映画!という奇想天外な作品。映画の冒頭から30分まで真面目に海軍を題材にしたストーリーかと思いきや、イージス艦が怪獣の原子熱線で破壊される映画になるとは誰が予想しただろうか!


 折しも公開当時、日本で「大和」の名を冠した軍艦が起工したこと、さらに日本とアメリカの共同制作という話題性で日本ではそれなりにヒットを記録。しかし、アメリカでは大コケしまくり興行収入では散々な結果に終わり、当時のネットではバッシングすらされてしまったという不遇の作品だ。


 しかし、今改めて見ると面白い作品ではある。当時現役で使われていた軍艦がところ狭しと登場する場面や、実際の兵器が活躍する場面も面白く、フルCGで迫力満点に描かれたイージス戦艦大和の勇士は日本では大ウケしたそうだ。


 また、退役間近だったアーレイ・バーク級イージス艦を実際に爆破して撃沈させたという豪快な逸話もあり、そのシーンはあまりにインパクトがあったのか後の大作映画でも何度か流用されている。


 怪獣のデザインも凝っており、怪獣を一種の災害にたとえ、それを日本人が立ち向かっていくという作りや、大和が最後に宇宙怪獣と刺し違えながら海へ沈んでいくというシーンは涙なしには見られない熱いシーンになっている。


 主演のアメリカ海軍兵士を演じるのは当時大人気だったロック歌手のバスキン・ブレイザー。彼の演技はド下手糞だったが、劇中に彼の新曲が流れるシーンは当時ファンも大喜びだったとか。もう1人の主演、榊陣太郎はベテランの艦長を熱演し、部下たちと共に大和を指揮して巨大な敵と立ち向かっていくシーンは彼なくしてはなし得なかった名シーンであった。


 アンディ・ベックマンは「セプテンバーズメモリー(24年)」「愛と情熱と銃弾(26年)」と全米を熱狂させた話題作を撮り、社会派サスペンスや恋愛ドラマを撮った堅実な監督としてのイメージがあったものの、今作を監督した事でキャリアは一時低迷。こんな映画を撮ったあとに「ハード・クラッシュ(32年)」でアカデミーを取ったなんて今では信じられないような気がしてならない。

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