第16回「タイムマリーンズ 時空の戦士」

「タイムマリーンズ 時空の戦士」

2027年 アメリカ

監督 キース・マックバーン


あらすじ……東南アジアで起こった紛争で、アメリカ人救出作戦のために合衆国海兵隊が派遣される。揚陸艦に乗り救出へと向かおうとする海兵隊だったが、その最中に揚陸艦が謎の落雷に打たれ、突如として消失してしまう。やがて、船員や海兵隊員が昏睡から目覚めると、そこはGPSにも表示されず衛星も存在しない世界だった。混乱する彼らの前に無線が入り、やがて大艦隊が現れる。海兵隊は第二次大戦の転換期のひとつ、ノルマンディー上陸作戦中のフランスへタイムスリップしたのだった!歴史に介入すべきか、それとも静観すべきか、二つの意見の狭間で揺れ動く彼らだったが、やがてこの作戦が史実と違いドイツ軍の圧倒的優勢により連合軍の敗北に向かいかけている事を察知し、彼らはドイツ軍を駆逐し歴史を正しく修正のために歴史へと介入していく。


[レビュー]

 タイムスリップとミリタリーアクションが融合したSFアクション超大作。同類の映画として「ファイナル・カウントダウン」「戦国自衛隊」などが存在するが、今作はそれらの系譜からはみ出ない、正統派のアクション映画に仕上がっている。


 タイムスリップにより過去へと送られた現代の軍隊……その軍隊が、過去の軍隊と共に巨大な敵へと立ち向かっていくというストーリーに歴史修正SFの趣が加わっている派手なスケールの映画であり、実際に使用された兵器や装備をふんだんに使った迫真のミリタリー描写と、圧巻の破壊・爆破描写から公開当時から今現在に至るまで根強いファンを残している作品である。


 今作ではアメリカ海兵隊が全面的に協力した事で、実在の兵器が大々的に使われているほか、俳優たちへの演技指導から脚本に至るまで細部にわたり協力された事で、チープでフィクション風味なノリは全て排除され、徹底したリアル志向で作品は作られている。決して一方的に現代の軍隊が活躍するのではなく、統制された大量の敵を前に一進一退の攻防を繰り広げる手に汗握る展開も見物だ。またドイツ軍の戦闘機部隊VS海兵隊のジェット戦闘機、ティーガーⅠ型戦車VSM2ブラッドレー歩兵戦闘車と言ったドリームマッチのような兵器のぶつかり合いもマニアから盛大に受け、人気を受けて製作された続編以降もこうした現代兵器と旧兵器とのバトルはしっかりと継承されている。


 とはいえ、批判も少なくはなく「ストーリーやキャラクターについては中身が殆どない」「単なる戦争アクション映画の型から逸脱しない凡庸な作品」「SFとしてもあまり良いと言えない」など辛辣な評価を受けたのも確かであり、内容が内容故に、興行収入では善戦したものの制作費をギリギリ回収できた程度であり、当時は一作目のみで終わってしまう予定となる作品であった。


 しかしながら、タイムスリップとミリタリーアクションが融合した今作のノリは確りと残ったようで、2年後に続編の「タイムマリーンズ2 限界突破指令」が低予算ながら製作され、テレビシリーズへの製作に繋がっている。知られざる良作アクション映画である。

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