生き続けることに意味があるのか。

藤子・F・不二雄先生のSF短編『定年退食』を思い出す傑作でした。

——「この世界はね、続けていれば必ず成功するようになっているの。けど問題は、間に合うかどうか、なのよね」
——「だけどね、人生は限られてるんだ。どっちにしろ、私の時間はいつか尽きる」

これはこの作品の中で印象に残った台詞です。しかし、私情を入れるとすれば、僕は病気のような事態にならない限り、制限時間なんて無いと思っています。人間には常に成長の余地がある。ならば、元気なうちは幾つになっても挑戦していたい。「お前ら、そんな人生で満足か? 俺は、嫌だね……」と。

それでも、病気に耐え、介護などのため、若い世代に負担をかけてまで生き続けるのはどうかと思う部分もあります。どちらにせよ、読んだ後に何を感じるのかはあなた次第です。肯定するにしても否定するにしても、考えさせられる作品で、「長く生きることに意味はあるのか」というのは死ぬまで答えは出ないテーマでありましょう。「終活」の生き様も人によって違いますからね。

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