アゲイン 高校の同級生が、ペットショップで売られていました。

作者 柳なつき

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★★★ Excellent!!!

 思っていたほど、下の文が長くなったので。簡潔に済ませるならば。
 この物語の主人公、来栖くんはとても優しい。人間です。
 そんな彼が、狂気的な世界観で、とても必死に頑張っています。
 見下し、自分はまだマシだと思うつもりでも。見上げ、まだ自分も頑張れる、と感じたい貴方でも。
 読んでほしい。この作品が、読まれてほしい。そう思える物語です。


 それはそれとして、長ったらしいレビューも書かせてもらいます。
 所謂、酷く歪な発達を…といえば、醜い主観が混じっているかもしれないが。
 恐らく大多数の人間は、狂気と定義する発達を遂げた未来。文明発達の、一つの完成形。これが設定の根幹にある物語。

 人間であるために、社会を維持できる存在として、活動しつづけなければならない。それらの能力が欠如していると認定されれば、人間未満と定義され。あらゆる尊厳を剥奪され、文字通りの動物に落とされる。
 それは例えば、犬や猫であったり。
 己の意思で排泄すら出来ぬ存在。飼われて生きる存在に、人としての生きてきた生物が、加工されるのだ。


 そんな世界で、来栖くんは学生時代に苛められた女子生徒と再会する。…あらすじの通りに、彼女は人犬として加工されていた。
 作中で完璧に描写されていないが、恐らく、大多数の人間が悲惨と感じる境遇を、来栖くんは彼女に与えられた。
 そんな彼女を、来栖くんは好き放題出来る状態で手に入れた。

 男性諸君であれば、性的暴行などを想像するだろう。生憎女性ではないので分からないが、女性の方であろうと、凄惨な報復を実行する。かもしれない。

 なのに、来栖くんは彼女を人に戻そうとする。
 彼女は決して、人間未満などではないと。行動していく。
 洗脳? 或いは一種の信仰。正直に感じた事を書くならば、拍子を外されたような、来栖くんに仄かな、理不尽な怒りすら覚えた。
 
 が… 続きを読む

★★★ Excellent!!!

 まさに理想的な、SF小説であり、恋愛小説である。

 どこかの神様少女ではないが私の最大のポリシーは、『ただの小説には興味はありません』であり、あたかもどこかで見たような翻訳調のSF小説や、予定調和でステレオタイプの恋愛小説なんて、心の底からノーサンキューだ。

 しかし、この『アゲイン 高校の同級生が、ペットショップで売られていました。』は、ひと味違う。

 近未来の日本においては、社会的落伍者は問答無用で『人犬』などの人間と動物とのハイブリッドに改造され家畜扱いされるという、まさしく文字通りのディストピアを舞台にして、高校時代に陰惨ないじめを受けていた主人公が、さる事情で人犬に堕とされた当時のいじめの主犯の少女をペットショップで見つけて、即決で購入して自宅に連れ帰るといった、冒頭部だけで十分狂った内容であるものの、そこから始まる本編においては、少女に対する同情と憎悪とそして何より高校時代から抱いてきたほのかな恋心との間で葛藤していき、この上なき異常で醜い関係だからこそ、いつしか『真の純愛』を育み始めて、ついには彼女を人間に戻すために、狂った世界そのものの改革に挑んでいくという、壮大なる純愛SF大河ドラマへと昇華していくのであった。

 とにかく、これまでになく斬新で、そして何よりもいろいろな意味で『刺激的な』作品をお求めの方には、是非ともお薦めの一作である。

★★★ Excellent!!!

この小説を異質たらしめる大きな一因は、どの登場人物にも個性があり、目を覆いたくなるような長所があり、舌を巻くような短所があるところです。
ヒロインの南美川さんでさえ酷く独善的で、不器用で、一人で出来ることなんてほんの僅かで、関わるのに勇気がいるほどのステイタスなのに、何故か自分の全てを預けたくなるような、そんな魅力があります。

下手な物言いで申し訳ないのですが、私はこれを読んで、自分の現実世界が少し尊いものになった気がします。
隣の友達が会話を繋ぐために必死に何かを考えている様子が、好きな人を取られまいとむきになってる同級生が、誰かを傷付けているときに見せる怯えた瞳が、愛おしく思えるようになったとき、あなたはこの小説の住人になるのでしょう。

(b`>▽<´)-bイエーイ☆゛なつき先生見てる!?(b`>▽<´)-bイエーイ☆゛(  ̄▽ ̄)v
はっぴーらっきーすまいるいえーい!!!!

★★★ Excellent!!!

過酷ないじめを受けたことのある主人公が、いじめの首謀者であったヒロインと数年後に再会する。
彼女はとある事情により人間未満と判断され、人権を剥奪されて犬に加工され、ペットショップで売られていた。

その場で彼女を買って帰る主人公。

言うなれば当時とは立場が逆転しているわけだ。
そこから単純明快な復讐劇が始まるのかと思いきや、そうではない。主人公の心理は、一読者の私の目から見ると複雑で謎だ。

作中、いろんな登場人物に主人公は同じような質問をされる。
自分をいじめたやつをどうして助けようとするのか、という類の問いだ。

その質問の答えを追いかけるうちに最新話までグイグイ読んでしまった。おもしろい。

犬に加工された人間を、元の人間に戻す。

その過程で明らかになっていく近未来の社会システム。完璧なようで歪んでもいる(ように私には見える)、そんな社会で生きる人たちの価値観。それらが主人公の前にたちはだかる。

困難にぶつかりつづける主人公は、辛抱強さと優しさと、時に胸がすくような逆転劇も見せてくれる。

耐えがたい苦痛を知ったヒロインは、それだからこその反省と成長を見せていく。かつて自分がいじめた主人公に対する認識や心情の変化は、謙虚かつ誠実だ。

結末まで目が離せない。

★★★ Excellent!!!

あらすじが総てです。
それでいて、あらすじでは表現しきれない人間の感情が手に取る様に描かれています。

人と畜生、愛と憎しみ、善と悪、優と劣、強者と弱者……
その曖昧さが、物語を一つの道へと導いているのだと思います。
根底にあるのは、強すぎる人の想いなのではないでしょうか?

一気に読めます。
むしろ、読まずにはいられません。

ぜひ、この締めつけられるような想いを共有して下さい。

★★★ Excellent!!!

アゲインの重要な設定を説明しきれないので投げ捨てます。
この話は春(主人公)と幸奈(人犬ヒロイン)のおそすぎたボーイ・ミーツ・ガールです。
春という青年の抱える痛みといびつさ、幸奈が人犬の立場から学んでいく心の強さ!
ディストピア世界で制限されながらも、春と幸奈は「互いが生きていることを抱きしめる」関係になります。
きみがいきてくれるのならうれしいな!
そんな純粋性を立証しつつ、純粋だけではごはんもビールもアマゾンギフトガードも買えないという過酷な現実も見せてくる。
それでもアゲインは「春と幸奈」の未来を信じる。どうしようもない世界で光が満ちるために前進しつづける力を応援するお話だと思っています。

★★★ Excellent!!!

 弱肉強食の合理性を突き詰めたディストピアで、歪んだ人間たちが織り成す物語は、読者にある種の気持ち悪さを感じさせるでしょう。
 また、苛められる人間の心情や苛める人間の心情、憎しみを抱えて生きる人間の心情や、他人の憎しみに対して鈍感な人間の心情など、人間の中にあるネガティヴな心理状態を、かなり具体的な表現を用いて、的確に描写しています。
 そんな、どこか息苦しい社会の中で、人間らしさを失わない主人公の在り方が、とても尊く思えました。

★★★ Excellent!!!

タイトルに衝撃を覚え、読み始めて一月半ほどです。
すっかり人犬という字をひといぬ、と読めるようになってしまいました。

高校時代、自分をいじめていた女の子、幸奈とペットショップで再会した来栖春。
幸奈はもう人間ではなく人犬(ひといぬ)になっていたのです。
心まで犬にされかけて、それでも人の言葉を失わなかったがために壊れかけ、踏みとどまって、そんな状態の幸奈。
いじめの後遺症を生活のあちこちに遺す春。
このいじめの後遺症の描き方がとてもうまいです。
前髪を伸ばすとか、手が見せられないとか、そういうところにああ、この人は傷ついたのだなあと感じます。
君がいじめた後遺症だと伝える春君の様子がいい性格してるなあって感じでとても好きです。

人がヒューマン・アニマルに加工されると世界観に難なく入りこませてくれる作者様の文章。
おかげで幸奈が人間に見えている春がこの世界ではおかしな人になってしまう、ということが実感を持って迫ってきます。

作者様の脳みそを覗き見たいくらいにひきこまれる世界です。
本当にどんな脳みそしてたらこんな素敵な、緻密で鮮明に脳内に浮かび上がる世界ができるんだろう。
ちょっとだけ、ちょっとだけでいいから脳みそ見せてください(褒め言葉)。

個人的には来栖春が好きなのですけど、真ちゃん(幸奈の妹)の叫びがいつかの私そのもので、ネネさんの言葉が刺さって、本当に目が離せません。

★★★ Excellent!!!

タイトルに引かれてページを読み進めた途端、ぐいぐいと二人の心理描写に引き込まれてしまいました。
来栖の、愛らしいけれど妬ましいという相反した感情にはとても共感が持てて、彼の人間らしさが切々と伝わってくる内心、それを描く文章力にまず引かれます。
人犬となった幸奈の細かな所作、まだ人間として意識を持っている強さといった部分も胸に痛く刺さり、二人の今後がとても気になります。

また人間が人犬に加工されるという設定、それを反映する社会性など彼等を取り巻く環境が、いかにもありそうなリアリティをもって迫り、彼等の心理へと更にのめり込むキッカケを与えてくれます。読み物としてまさに一流の作品だと思いますので、切ない二人の心を読み進めたい方にはぜひともお勧めしたい作品です。

★★★ Excellent!!!

弱い立場の人がみせる心情。
人以下の存在に成った人犬が、弱い立場の感情と辛さに気付いていく有り様。
お互いの弱さを必死に補おうとする様々な行動。
それを認めようとしない世界観を持つ人々の態度。
その全ての描写が気持ち悪くもあり、可愛らしく、そして恐ろしい。
読み進める毎に惹かれていく小説。

口くいは必読!!

★★★ Excellent!!!

なろうでは規制くらってこっちに来ました。
過激な表現が多々あるので、もしかしたらとは思っていましたが、こっちで読めることが嬉しいです。

主人公の感情がとても複雑で、以前自分のことを虐めていた幸菜に対して、復讐とも承認欲求とも取れる意識が混在しており、その人間描写がとてもリアルで読んでいて圧巻です。

また、社会制度の設定も細やかに出来ていて、思わず読み入ってしまいます。

これからの展開をドキドキしながら楽しみにしています。

★★★ Excellent!!!

人間が社会を作るのか。
社会がヒトを人間たらしめるのか。

因果性のジレンマに対し、社会の側へ端緒を置いたのが作中の世界。
社会全体の更なる幸福を目指して、倫理や道徳など超越した「人間」の最適化。
その先にあったものはヒトが獣になり、あるいは化物となる地獄だった。

ここまで平易かつ写実的に、「心の傷」を描いた作品は珍しい。
とても万人受けのするものではないが、試さないのは大いなる機会損失だと断言しよう。
どうか読後の、千々に乱れる感情を体験し愉しんで頂きたい。

★★ Very Good!!

 一気読みしてしまった(なろうに投稿されている最新話まで)。

 復讐か情けか、一概には表現できない主人公、「人外」となったことで人間や「思いやり」を学んだ元いじめっ娘——現人犬。
 その複雑な関係を深めるのはディストピアという背景である。もう少し言えば、「人間未満」とされた者を「人外」へ貶める世界。狂った人間がテクノロジーを“誤用”する近未来。
 いや、“誤用”でもないのかもしれない。それは現代的な「自由」に基づく感覚なのであって。

 そんな世界で「人外」とされた者を「人間」に戻そうとするのは異質だ。だからこそ、二人の辿る道が楽しみである。

 わたしたちとは違う思考で溢れる世界を描く。これこそがSF、ディストピアだ。これは良作に出会った。

★★★ Excellent!!!

単語や言葉の1つ1つは決して暴力的でも性的でもないのに、
過剰な修飾も、過激な擬音も無いのに、
どこまでも平易な文章で、どこまでも読みやすく。
なのに、何度も途中で息を整えないと読み進められない。
1話を読んで、ぞっとして、
2話を読んで、ぞわっとして、
3話を読んで、ぞくぞくしてくる。
この先を読むか止めるかは読者の自由。
でも、きっと、無理だと思う。この刺激に逆らうのは。

★★★ Excellent!!!

創作とはこうあるべき。

筆者が惜しげもなく晒けだした狂気と性癖と知性、卓越した文才が紡ぎだす人間模様――ヒューマンドラマ。
このジャンルにこれ以上ふさわしい作品を私は知らない。

決して感動に打ち震えるものでなく、決して心暖まるものでもない。
恐らくは相当に人を選ぶであろう問題作だ。

しかし、それを試さないのは何よりの機会損失である。
まずは是非あらすじをご覧いただきたい。

そして本編を読めば、狂おしい愛情、下卑た快感、後ろめたい背徳感、それでいてどこか切なく割りきれない感情があなたを襲うだろう。

まるで、奈落の闇が見える崖の縁を命綱無しで、じわり、じわり、と進むが如き読了感を味わうことになるだろう。

ああ、なんと素晴らしい。

それでいて本作は近未来SFであり、ミステリアスなラブストーリーでもあるのだ。

最後に私は筆者である、柳なつき氏にこう問いたい「あなたの目に人間はどう写っておられますか?」

★★★ Excellent!!!

ペットショップで高校の同級生が売られていた。

この小説の最初の一文です。
ここに出てくる日本では、人が多すぎて一定の基準を満たさない人間は「ヒューマン・アニマル加工」をされて、人犬や人猫などの愛玩動物になります。
主人公は高校時代に自分を苛めていた少女が人犬になってペットショップで売られているのを見つけて、30万円で買うのです。
そこから始まる二人の生活。
人の心の機微がとても細かく描写されていて、気がついたらぐいぐい最新話まで読んでしまいます。

テンプレものではない新しい小説を読みたい方は是非、読んでみませんか?