君はペット。それならぼくは世界の中心で愛を叫ぶ獣になろう

来栖春がペットショップで出会ったのは、高校時代のクラスメート、南美川幸奈だった。

ただし、幸奈は店の商品として、春は客として再会したのだ。

社会評価点が人生を左右し、そこから落第すればヒューマンアニマルという人間の形を中途半端に保ったケモノに加工されてしまう。幸奈も犬のような耳と尻尾を持った人間未満の存在になっていた。

幸奈は春をイジメた主謀者の一人だ。にもかかわらず、春は幸奈を引き取り、人間に戻してあげると約束する。春もまた過去に縛られ、そこから動けずにいた。

バックトラックのように行きつ戻りつする二人の旅路の先に、人間であることの意義は見つかるのだろうか。

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